福岡県の天然記念物「柳坂曽根の櫨並木」。地元の人々にとっては馴染みの風景ですが、実は意外と知られていない名所です。秋になると、210号線から山辺の道のバス停の上まで約1.2キロにわたり、260本の櫨並木が真っ赤に染まります。その景観はまるで紅葉のトンネルのようです。

櫨の実は、私たちの生活のさまざまな場面で活躍しています。現在でも和ろうそくをはじめ、整髪料、お相撲さんの鬢付け油、大手化粧品メーカーの商品にも使われています。「JAPAN WAX」として欧米でも評価され、高く売買されているほどです。
この美しい櫨並木が維持されているのは、地元の「はぜ保存会」の尽力があるからこそです。2025年2月15日、この日は剪定作業が行われるとのことで、現地を訪れました。筑水高校の生徒さん約20名も課題研究の一環として手伝いに参加していました。

先生や保存会の皆さんの指導のもと、生徒たちは丁寧に枝を剪定していきます。保存会の会長によると、剪定のポイントは「風通し」「日当たり」「通行の安全確保」、そして「できれば丸みを帯びた樹形にすること」とのこと。脚立を使いながら高い枝を落としていく作業に、生徒たちは真剣な表情で取り組んでいました。

先生と生徒さんの一人に話を伺いました。

「2年生から櫨並木の活動に関わり始めました。当初は櫨のことを全く知りませんでした。でも、授業で詳しく調べたり、和ろうそくや櫨ラップを作り、実際に販売する中で、櫨のすごさを実感しました。お客さんと直接話せるワークショップも楽しく、いろんな視点を学ぶ機会になりました。今は、今年3月の筑後川遺産登録に向けて準備中です。」
彼女は将来、国際関係の分野に進学予定とのこと。Japan WAXの魅力を世界に広めるチャンスでもあります。こうした経験を通じて、彼女が将来どのように活躍していくのか、今から楽しみです。
しかし、保存会の会長からは、少し気がかりな話も伺いました。 「ここ数年、温暖化の影響か、櫨の紅葉が見られない年もあります。真っ赤に染まらず、緑と茶色の葉のまま実をつけてしまうこともあるんです。」
櫨は気候の変化に敏感な樹木です。紅葉の美しさも、繊細な自然のバランスの上に成り立っています。100年後もこの風景を守り続けるために、私たち一人ひとりが環境問題について考え、行動していくことが大切だと改めて感じた一日でした。
