うきは市、耳納の山の宿泊施設「うきはの灯り(うきは中山間地区農泊推進協議会)」
うきは市には、特徴ある沢山の宿泊施設があります。耳納連山の山の中で、地域と一体となり宿泊を営んでいる企業があること、知っていますか?その名は、「株式会社ぱすてるU」。代表の大石純夫さんにちょっと変わったこの宿泊施設を運営することになったのか、伺いました。

【大石】浮羽町の中山間地域は、「新川・田篭・小塩・妹川」の4つの地域があります。新川・田篭地域は文化庁から「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。小塩地域は環境省から「生物多様性保全上重要な里地里山」の指定を受けています。
「うきは中山間地区農泊推進協議会」の宿泊施設は、農林水産省から第1次「農泊インバウンド受入促進重点地域」に全国23か所の一つとして指定を受けています。文化庁、環境省、農林水産省からも、それぞれ評価を受けており、福岡市都市圏から近いという立地条件にも恵まれています。また、地域固有の歴史、文化、農業、暮らしが重なり合っていることが大きな特徴です。
ユネスコの世界遺産委員会は、1992年に「文化的景観」という考え方を示しています。「景観とは自然と人間の営みが共につくり上げるもの」ということです。日本の各地域には、自然環境と人々の暮らしが長い時間をかけて育んできた景観が数多く残っており、その価値を改めて見つめ、次の世代へつないでいくことが大切だと考えています。
この地域には、棚田米は「小塩のほたる米」して販売され、古民家や国指定の平川家住宅、棚田百選の一つである「つづら棚田」、名水百選に選ばれた清水湧水など、多様な資源があります。「自然と人間が共に作り上げたもの」という文化的景観の考え方にふさわしい場所です。小塩で、梨の袋かけをしていたご夫婦の姿を見た時に強く心を動かされたのも、自然と人の営みが一体となった景観に触れたからだと、最近になって言葉にできるようになりました。
起業のきっかけ――恩返しから観光事業へ
【大石】会社の決算でいえば、ちょうど10期目です。創業当時、宿泊施設をやって営利を求める気持ちは全くありませんでした。長い間、会社組織の中で汗して働いていました。ふと、一度だけ自分の思い通りのことを思いきりやりたいという気持ちが湧いてきたんです。その思いが重なって、浮羽町の中山間地域・小塩に足を踏み入れた時に感動がありました。
同時に、うきは市への恩返しの気持ちが強かったです。振り返ると、景観との出会いをきっかけに観光事業へと導かれていったように感じています。
最初は別荘のような感覚で事業を始めました。その後、すぐそばにある「佐藤家つつじ園」の佐藤先生から民泊を始めるというお話があり、私は「仲間ができた」とうれしく思いました。宿泊に適した場所に施設が少しずつ集まることで、地域全体として魅力を高められると考えたからです。予約システムやホームページを共同で活用する形で2件目の施設が生まれました。その後、古民家を管理していた方から、田篭の「せせらぎ」の近くにある古民家と旧神楽施設を宿泊施設として活用し、運営を引き受けてほしいという相談をいただきました。地域資源を生かした事業への考え方が一致し、一緒に取り組むことになりました。その後も各地から相談をいただき、現在は8棟を運営しています。今後も地域とのご縁を大切にしながら、着実に施設が増えていくのではないかと思っています。

今後のビジネスモデル――地域住民を巻き込んだ宿泊展開
【大石】これからのビジネスモデルとして考えているのは、うきはの中山間地域を主体に、比較的広い屋敷を持つご夫婦に呼びかけをして、宿泊をやっていただく形です。お客様の予約受付は当社がネットで行い、清掃や消耗品の管理も当社が受け持ちます。そして、お客様と一緒に田舎料理を作っていただいて、食べながら会話を楽しんでいただく。場合によっては近くの畑仕事をお手伝いしてもらったり、うきは市内観光に行ったり、スイーツのお店に立ち寄ったりと、地域の暮らしの中での体験を提供したいんです。隣接する田主丸や朝倉にも多様な地域資源があります。地域ならではの食の提供方法についてご意見をいただき、中山間地域にある身近な食材や道具を生かすことの大切さに気づきました。竹の器におにぎり、漬物、汁物、果物を盛り付けるような、中山間地域の日常に根差した料理や体験を提供していきたいと考えています。
「うきはの灯り」ネーミングの由来
【大石】「うきはの灯かり」というネーミングは、地域の方との会話から生まれました。「夜、明かりがあるとちょっと安心する」とおっしゃった言葉が心に残りました。山里の静かな夜にともる明かりには、人をほっとさせる力があります。川端康成の小説「雪国」の冒頭のように、日常から別の世界へ入っていく感覚やロマンを、この名前に重ねています。
七取材の締めくくり――大石社長のメッセージ
【大石】とにかく山里に来てのんびりしていただいて、元気を養っていただいて、また街に帰って元気に仕事をしていただきたい。子供たちには山里での自然体験をしてほしいですね。街にはない体験は、プラスになるはずです。難しく考えなくても、子ども達は、勝手に一生懸命遊んで、汗だくになるんですけれども。
一つの事業所が中山間地域に点在型の宿泊施設を展開することには、大きな可能性があります。地域の元気なご夫婦や広い屋敷を持つ方々、専門事業者、自治協議会、市などが連携し広がれば、中山間地域全体でお客様を迎える仕組みが生まれます。古民家、棚田などを大切に整備しながら文化的景観を守り、地域の暮らしと観光が共存する形を作っていきます。
「うきはの灯り」があるうきは市浮羽町の中山間地域に是非遊びにおいで下さい。

ホームページ:https://ukihano-akari.com/
住所:うきは市浮羽町小塩2605-1 旧小塩小学校1F
電話:0943-77-2277
E-mail:contact@ukihano-akaro.com
以降、宿泊施設を紹介していきます!
